本と映画のれびゅう

泣いたり笑ったり。

山手線のラッシュアワーとプーケットのスクーター事情

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少し前に会社の上司とランチを食べに行った時に、

「ラッシュの山手線に乗り込む様子を外国人観光客に写真に撮られてすごく嫌だった。」という主旨の話を聞かされた。その時は、「そうですねー。なんかウサギ小屋の日本みたいなそういうイメージの延長かもしれませんね。」なんてわけの分からない返しをしてしまったが、何か違和感みたいなものしか残らなかったので、後からいろいろ考えたことを書きます。

 

その上司は、僕も山手線を利用しているから簡単に状況を理解してくれるだろうと考えてそういうことを言ってきたのだろう。自分がせまい電車に押し込められているところが、「観光客=通勤途中のサラリーマンの自分とは対極の存在」の見世物になっていると考えると、「嫌だ」というのは普通の感情かもしれない。

僕の感覚でしかないが、ラッシュアワーの状況を撮影しているのは欧米から来たであろう観光客がほとんどのように思う。その上司はしょっちゅう「外車に乗りて~」と言い、バリバリのハリウッド映画好きだから、元々欧米に対するあこがれが強く、あるいはコンプレックスも強いタイプの人間かもしれない。そう考えると余計に嫌だろうし、おそらく「こんな姿を見られて恥ずかしい」という感情もあると思う。

 

東京で生活している人は外国人観光客が増えたことを感じているはずだ。アジア系の人たちは一見して観光客と分からない場合もあるだろうから、自分が感じているよりももっと多くの観光客が日本に来ているのかもしれない。そう思って調べてみると、2015年訪日外国人旅行者数は1,974万人(前年比47%増)、訪日外国人旅行消費額は、3兆4,771億円(前年比71%増)と過去最高を記録したとの情報(※1)があった。思っていたよりもすごい成長率でインバウンド需要は伸びているらしい。ただその8割はアジアからの観光客とのデータもあったが、それでもベースとなる数字がここまで伸びていれば、欧米からの観光客もかなり増加していることは間違いない。

 

 

次に、じゃあ自分はこの上司と同じ状況の時にどう思ったっけ?と考えてみると、”あー、やっぱり山手線のラッシュみたいなのは外国にはないんだな”という感情のみで腹を立てた記憶はない。生活環境や文化の違いは当然あるだろうし、そもそもそれが楽しいから観光するわけで、こんなの初めてみたら写真くらい撮ると思う。要するに観光客なら誰でも持っている種類の好奇心からくるものだろう。そんな程度のものだった。

 

それでしばらくこの話は忘れていたのだが、あることをきっかけに、”なるほどもしかしたらこういう考え方もできるかもしれない”と思い始めている。一応言っておくと、そのきっかけとは決っして上司が外国車をすごい回数のローンで買ったことではない。

 

3年ほど前の夏に夫婦でタイのプーケットを旅行した。初めての島観光だとはしゃいで、普段なら絶対手を出さない価格のサングラスを買い、ものすごく深いVネックのTシャツというスタイルに変身して、現地を歩きまわった。食べ物は美味しいしホテルからの眺めはとても綺麗、おまけに海に面した宿泊客専用のプールでフルーツを刺したジュースなんか飲んじゃって、んもう最高!みたいな恥ずかしいノリになっていた。その後お腹をこわして真っ青になり、おまけに日焼けをがんばり過ぎて水ぶくれみたいになってしまうまでは、「俺たぶん南の島の血が入っちゃったわ。こりゃ住んじゃうかもしれない。」などとのたまうくらいの浮かれようで。

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そうそう、泊まったのはパトンビーチのはずれくらいに位置する山の斜面にあり、窓を開けたら海が広がっている最高のホテルだったのだが、そのホテルの入口に立っているガードマン?はマイケルジャクソンにとても似ていた。いや、似ていたというかマイケルジャクソンのそっくりさんだった。いまネット上を検索してもそういう情報は見つからない。おかしいなあ、もしマイケルが生きてたら間違われるレベルなのに。。。一緒に写真を撮ってほしいとお願いすると、ハイハイみたいな慣れた様子で肩に手をまわしてくれたので、おそらくみんなマイケルのそっくりさんと写真を撮ったという土産話をゲットしていたのだと思われる。ほんと誰か知りませんか?

 

話を戻そう。その旅行の中で僕が一番魅かれて写真を撮ったのは、スクーターに乗った人々だった。プーケットで見かけるスクーターは日本のそれと大差ない。いやむしろカマキリのようなルックスをしたかっこいい物もたくさん見かけた。そのかっこいいスクーターに、平気で老若男女が三人、四人乗りをしている。いやもしかしたら反則キップを切られるとかで平気ではないのかもしれないが、僕にはそう見えた。運転する親の前にちょこんと座らされている子どもがアイスクリームをくわえていたりする。僕はなんて痛快なんだろうと写真を撮りまくった。日本に帰ってきてそれらの写真を見ても印象は変わらず、クールですらあると思った。

 

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そのことを思い出して、先に書いた山手線のラッシュアワーの話に戻りたい。プーケットでスクーターに無理矢理4人乗りしている人たちを写真に撮った僕に好奇心はあったが、バカにする気持ちなんか微塵もなかった。むしろその後イヤなことがあった時なんかぼーっとその写真を見て力を貰うこともあった。もし”自分よりハードな環境の人を見て優越感で慰めているんだろう”なんて思う人がいたら、もう僕はこれ以上説明する文章力も気力も持っていない。ヘリクツを言うとすると僕の給料では新車の50ccスクーターを買うことは難しく、よしんば買えたとしても、妻と二人乗りでもしようものならあっと言う間に反則キップを切られることになる。そこから絞り出す優越感がそれほど大きなものとは思えない。

 

世界中、様々な環境の中でそれぞれの生活がある。そう思っただけで楽しくはないだろうか。もしかしたらそう思っただけで乗り越えられることもあるかもしれない。それは渋谷駅山手線のホームでラッシュアワーの様子を写真にとっている人たちも同じではないだろうか。そりゃあ、こんなにぎゅうぎゅうに押し込められて不憫だな、くらいのことは思っているかもしれない。でもそのもっと奥にもう一つ違った感情だってあるかもしれない。

 

つまり、「俺たちが苦しんでいるラッシュアワーの写真を撮ってバカにしているのか!」みたいな感情は、僕が中高生の時に「おまえさっきこっち見て笑っただろう?」とからんできた怖いヤンキーの先輩のような、そんな次元の話の気がしてならない。想像力がなさすぎる。もしその想像力がラッシュアワーによって摩耗してしまっているのなら、すぐに何か楽しいことを考えた方がいいと思う。プーケットに行ってスクーターにまたがってみるとか。きっと楽しいはずだ。

 

最後に。

あるきっかけで上記のことを考えたと書きましたが、それは引っ越しでプーケットの写真を入れていた箱が無くなってしまったことです。もう普段は写真をプリントしたりはしないけれど旅行のものだけは別。そしてその時撮ったデジカメのデータを格納しておくカード(正式名称わかりません)も行方不明なんです。お気に入りの多人数乗りスクーターの写真がない。おまけにマイケルジャクソンのそっくりさんと一緒に撮った写真もない。困ったなあ。

文中に使っている写真はかろうじてiPhoneで撮っていたものから選びました。ホテルから見渡せる風景と、トゥクトゥク(※2)の荷台から見えた景色。また行きたい。

 

※1、参考:国土交通白書 2016 

※2、トゥクトゥクは赤ベースの軽トラックの荷台を客席にした乗り物で、要するに日本でいうタクシー。乗る前に行先を告げ値段を交渉するスタイル。同じ場所の往復でも、試しに前日の半額くらいで交渉したら笑顔でOK出ました。そういうことです。参考までに。

 

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